2022/03/30

~伝統の塩作りを全国へ~

今回、ご紹介するのはシイレルにサプライヤーとしてご参加いただいている
株式会社Ante(アンテ)です。

こちらの会社は、石川県の農産物や伝統技法を活用した商品を数多く生み出し、地域活性化に貢献してきました。
そして、現在は石川県能登半島の珠洲(すず)市で約500年以上も昔から継承されてきたとされる「揚げ浜式製塩法」での塩作りに力を注いでいます。

その中でアンテは3つのミッションを掲げ、製塩事業に取り組んでいます。

~ミッション~

  • 森を守り、海を守る
  • 地域共生
  • SDGsへの取り組み

この記事では上記のミッションに取り組みながら、塩の製造・商品開発を行うアンテの商品 のこだわりや伝統技法について取り上げます。

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アンテの塩ブランド「DENEN(でんえん)しお」

アンテの主な事業として、地元能登の特産物である「揚げ浜しお」作りがあります。

こちらの取り組みは

  • ①能登の伝統技法である「揚げ浜式製塩法」の継承
  • ②特産物である「塩」の生産の存続
を目的として始められました。

「揚げ浜式製塩法」から生まれる希少な塩

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そもそも、「揚げ浜式製塩法」とは何でしょうか?
  ―これは石川県能登半島にのみ、残っている塩づくりの伝統技法のことです。

年に1回伊勢神宮の催事で行われることはありますが、 事業として残っているのが能登半島のみであるということから世界的に注目されています。
また、歴史として500年以上前から伝わっており、 この製塩法と塩づくりに使われる塩田の景観は昔から変わらないことから地元の方の誇りだそうです。

また、この揚げ浜式製塩法で作られる塩は通常の塩とは風味が違い、
味に「まろやかさ」と「甘み」があります。

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(株式会社AnteのHPより引用)

その秘密は塩の成分にありました。
市販の一般的な塩は、塩化ナトリウムが約99%となっているのに対し、 「揚げ浜式製塩法」で作られた塩は塩化ナトリウムが約92%、そしてその他がマグネシウム、 カルシウムやカリウムといった成分が含まれています。
そのため塩味以外の甘味や旨味があり、奥深い味わいを感じていただくことができます。

「しおサイダー」とは?

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石川・能登の特産品である塩や揚げ浜式製塩法が全国的にあまり知られていない存在だった 2009年にアンテが地サイダーとして能登の塩を使い、製造した地サイダーです。

地サイダーは全国に約600~700種類もあると言われ、常に入れ替わりが激しい商品です。 アンテの地サイダーは発売以来、揚げ浜式製塩法という珍しい作り方から評判になり、 今や石川県を代表する土産品として地元の方々からも愛される存在までになりました。

そんな「しおサイダー」を作る中でアンテが危惧していたのが、 原料である「塩の消滅」です。

塩づくりの伝統技法は能登にしか残っておらず、その中でも数軒しか塩づくりを行っているところがありません。
アンテはこの塩と製塩法を無くさないために自分たちが残していこうと決意しました。

そこで作られたのが「DENENでんえんしお」です。

アンテがつくる「DENENしお」

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決して安定はしない塩作りです。
5~10月の間しか塩田での作業は行えず、また、雨が降ったり、風が強かったりしても作業が行えません。 そして、天気がよければ塩田が乾きやすいため生産量は上がりますが、逆に熱すぎても作業ははかどりません。
アンテは気候の変化に合わせながら「DENENしお」を作っています。

また、現代の社会問題でもある「マイクロプラスチック問題」に対応しながら、 揚げ浜式製塩法で塩をつくることにも苦労したとご担当者様は言います。

近年、プラスチックによる海洋汚染が世界中で問題になっています。

これは、普段口にする魚の体内にも含まれており、 それを人間が無意識に摂取することで健康被害があるのではないかとされています。
能登の海がどれだけ美しいとは言え、この問題をさけることはできません。

アンテは塩を作る義務として、海水に含まれているあらゆる異物を5μと1μ 「1μ(ミクロン)=1/1000mm」という非常に細かい特殊なフィルターを通すことにより除去しています。

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↑特殊なフィルターで安全

伝統として続いている揚げ浜式製塩法を守りながらも現代の社会問題にも柔軟にご対応することで 安心・安全な塩づくりを行っています。

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そして、塩づくりにはきれいな海が前提条件です。
そのためきれいな海をつくる山も大切にしています。 アンテが釜炊きを行う際に使用する薪は能登の里山から切り出す間伐材のみです。 間伐材を使用することで山の整備に貢献し、森を守る一翼を担っています。

今後の展望

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このような伝統や地域を大切にするアンテに会社の展望をお伺いしたところ、
長い目でこの揚げ浜式製塩法を残していきたいとおっしゃっていました。

そのためには若手の力が必要です。
現在、地元の若者は塩づくりに対して誇りを持ちながらも「伝統」という堅さから、近寄り難い印象があるそうです。
そこでアンテはこちらからの若者への歩みよりが重要だと考え、「揚げ浜式製塩法」を
ポップな音楽とともに説明するような動画を流し、より親しみやすい印象でPRをしています。

また、食品だけではなく「美容商品の開発」にも挑戦していくそうです。 全国の方に能登の塩を知っていただき、いずれは能登に足を運んでいただきたいとおっしゃっていました。

今回、取材をさせていただく中で塩が作られる過程を知ることができました。
「揚げ浜式製塩法」で作る生産者様は能登にずっと残していきたいという並々ならぬ想いがあるんだということを知り、 若者に引き継がれて長く日本の伝統文化として残っていってほしいと思いました。

※マイクロプラスチック・・・微小なプラスチックのことで多くの場合は5mm(ミリメートル)以下のプラスチック粒子を指します。

DENENしお(80g×30袋)

DENENしお(80g×30袋)

能登の伝統「揚げ浜式製塩法」で作られる海水塩です。
塩の角が取れたようなまろやかな味わいが特徴で、ミネラルバランスがよく、塩の旨みを感じていただけます。

この商品の詳細はこちら


今回ご紹介しました、株式会社Anteの商品はシイレルにご登録いただくことで、販売可能です。また、販路を拡大したいサプライヤー様のご登録もお待ちしております。。

―シイレルとは―

シイレルとは、EC販路を拡⼤したい地⽅企業(サプライヤー)と新商品の開拓先を探しているEC販売店(バイヤー)が 集まるサービスです。サプライヤー様・バイヤー様ともに、 初期費⽤や⽉額固定費については、無料でご利⽤いただけるサービスとなっています。